若い人に人気の仮想通貨ですが、これまでの人生で株やFXなど投資をしたことがない人にとって、最初はわからないことだらけですよね。
仮想通貨のしくみや稼ぎ方はもちろんのこと、仮想通貨に関わる法律や税金についても熟知している人は少ないのではないでしょうか?
そんなちょっとした疑問を解消できるように、今回は仮想通貨に関わる法律を1からしっかりと説明すると共に、仮想通貨で稼いだお金にかかる税金についても紹介していきます。
- 仮想通貨に関わる法律は「資金決済法」「金融商品取引法」「金融商品販売法」の3つ
- ユーザーも違反すると罰則を受ける規定があるので知っておかなければならない
- 法改正の裏には取引所の流出事件や不正などがあった
- 仮想通貨で得た利益は雑所得に分類される
- 仮想通貨で得た利益にかかる税金は株式投資やFXとは異なる方法で計算される
- 仮想通貨にかかる税金は最大45%、住民税も合わせると約55%にもなる
- 節税対策はしっかり学んでおくべき
こちらの記事では仮想通貨海外取引所の税金に関する知識を網羅的に解説しています。
「仮想通貨法」は存在しない!仮想通貨関連の法律の基本
検索をかけると「仮想通貨法」という言葉が出てきますが、この名称の法律が存在するわけではありません。
仮想通貨に関わる3つの法律をまとめて「仮想通貨法」と呼ぶことや最近の改正で追加された項目をまとめてそのように呼ぶことがありますが、いわゆる俗称です。
- 資金決済法
- 金融商品取引法
- 金融商品販売法
この3つの法律が仮想通貨に関わってくるので紹介していきます。
最近改正された部分があり法律名の前に「改正」とつけています。改正された部分についても触れながら説明をしていきます。
改正資金決済法
資金決済法とは、2010年4月1日に施行された法律です。
時代が流れるとともに、資金決済の方法が現金一択ではなくなりました。
クレジットカードやプリペイドカード、最近ではスマホ決済が増えてきて、キャッシュレスが主流になりつつありますよね。
こうした資金決済の多様化を受けて、関連金融サービスの利用者の向上・保護を目的としているとともに、関連金融サービスを提供する事業者への適切な規制を行う目的で法律は改正を重ねています。
資金決済法の仮想通貨についての改正
最初の改正は2017年に施行されました。
後で詳しく説明していますが、2014年の大規模な資金流出事件である「Mt.GOX事件」を受けて、日本では仮想通貨の交換業者に登録制を導入します。
- 仮想通貨交換業者に登録制の導入。
- 口座開設時にユーザーの本人確認を義務づける。
- その他、交換業者登録の際の規定を整備。(最低資本金・システムの安全管理・第三者による監査など)
さらに、2020年にも再度改正されます。
これは、仮想通貨を取り巻く環境の変化が一因となっています。
例えばMt.GOX事件のような資金流出事件がやはり起こってしまう状況や、仮想通貨をただ現金と交換するだけでなくFX取引などが登場し始めた、というような状況です。
この状況に対応するためには、当時の現行法だけでは限界があるとして再度改正が検討されることとなりました。
- 仮想通貨の名称を法令上では「暗号資産」に統一することを明示。
- 仮想通貨交換業者の広告・勧誘の整備。(誇大広告・投機を助長する勧誘などの禁止)
- 仮想通貨の管理のみを行う業者に対しては、「暗号資産交換業規則」の中の「暗号資産の管理に関する規制」を適用。
- 仮想通貨交換業者が怪しい通貨を取り扱えないように、事前に変更の届出をするよう義務化、取扱い通貨に問題がないかをチェックする仕組みを整備。
- 仮想通貨交換業者が廃業した時に、ユーザーが不利益を被らないように資産を返還することができるように規定を整備。
- ユーザーの資産を守るため、流出しやすいホットウォレットではなくコールドウォレットなど安全性の高い方法で保管することを義務付ける。
- さらにユーザーの資産を守るため、ユーザーの資産と同じくらいの資産を別途保有することを義務付ける。
その他、細かい改正はありますがザっとこのような改正が行われています。
要するに、改正資金決済法は怪しい仮想通貨を排除しながら安全性の高い取引所のみが国内で運営できるように規制をしている、ということ。
そして、ユーザーの資産が大量に流出しないようにしっかりと守ることができるように最大限の規制を行うことが中心となっています。
改正金融商品取引法
金融商品取引法は、様々な金融商品を取り扱う上での事業者の規制と利用者の保護・利便性の向上を目的とした法律です。
日本人はあまり投資をしないことが知られていますが、これを促す意味でも適切な法整備の下で金融商品の取引を行えるようにする法律です。
金融商品取引法の仮想通貨についての改正
- 仮想通貨取引の不当な価格操作や不正を禁止。
- 仮想通貨を原資産とするデリバディブ取引を金商法の規制対象として追加。
- FX取引と同じように金商法での規制を整備
これまで仮想通貨を元手とするデリバディブ取引について、明確な規制はありませんでした。
デリバディブ取引というのは、現物取引以外の色々な派生取引のことを指します。
先物取引・オプション取引・スワップ取引・FX取引など、様々な取引をまとめてデリバディブ取引といいます。
これが他の金融商品と同じような扱いになったのです。
さらに、後でも触れますがユーザー側の不正行為にもメスを入れたことが大きなポイントです。
改正金融商品販売法
金融商品販売法は、金融商品取引の安全確保を目的として2001年に施行された法律です。
この法律では、事業者に対して金融商品についてのユーザーへの説明義務を課し、説明がなかったことでユーザーが損害を被った場合は賠償責任が生じるということを定めています。
金融販売取引法の仮想通貨についての改正
- 仮想通貨交換業者に対して、仮想通貨取引や仮想通貨関連デリバディブ取引が説明義務の対象となる。
要するに、仮想通貨取引やそれに関連するデリバディブ取引についても、ユーザーにしっかりと説明することが義務化されたという内容です。
仮想通貨取引の上でユーザーが気を付けなければいけないポイント
さて、この法律を知った上で、仮想通貨取引を行う場合ユーザーが気を付けなければいけないことがいくつかあります。
- 本人確認をしっかり行うこと。
- 不当な価格操作に関与しないこと。
大きくこの2つです。
国内取引所での取引を行うためには、基本的に本人確認を行わなければなりません。
この時、他人の名義を使うことや自分の名義を貸すことは犯罪となりますので絶対にやってはいけません。
また、友達に投資に長けた人がいてその人に取引をやってもらう、あるいは自己資金ではない金銭を使うことも同じように違法行為となります。
さらに、不当な価格操作に関与することも違法行為となります。
複数のユーザーがある通貨を売る・買う場合に日時を指定して一斉に売買を行うことなどが例に挙げられます。
また、交換業者の情報漏えいやリークによって得た事前情報(例えば新規通貨の上場など)によって、利益を得た場合も同様です。
規制が強化される前はこうしたユーザー側の不正行為も後を絶たなかったという状況がありました。
現在は法律の改正によって、「風説の流布・価格操作等の不公正な行為を禁止」となっていますので、これに違反した場合は罰則を受けることとなります。
上記の場合金商法における不公正取引にあたり、相場操縦的行為及び風説の流布等の場合「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(その両方の場合もある)」が科せられることとなります。
さらに、不公正取引で得た利益は没収されることになります。
また課徴金制度といって、違反行為に対する罰則とは別の行政上措置もあるということを覚えておかなければなりません。
これらについて、知らなかった!では済まされないことはしっかりと頭に入れておきましょう。
国内での仮想通貨法規制の歴史とGOX事件
日本での仮想通貨の歴史を振り返りながら、法規制とGOX事件について解説していきます。
2008年 サトシ・ナカモトの論文が発表されビットコインとブロックチェーンの概念が誕生。
2009年 ビットコインが運用され始める。
2010年 ビットコインを使った初めての商取引が成立。
アメリカのプログラマーがピザ2枚を10000BTCで購入した。
Mt.GOX取引所が創設される。
2014年 Mt.GOX事件が起き、同社が破綻。
国内で初めての取引所「etwings」が誕生。※現在はZaifに買収されている。
その他、bitFlyer・bitbank・Quoine・coincheck・Krakenなどが日本でサービスを開始。
2015年 G7ではじめて仮想通貨に関する議論が行われる。
その後、FATF(金融活動作業部会)から「取引所に登録・免許制を、利用者には本人確認を義務付けるべき」との旨の通達があり、世界中に規制 の動きが起きることとなる。
2016年 日本で「改正資金決済法」が成立。
2017年 改正資金決済法が施行(同年4月1日)。
2018年 coincheck、zaifがハッキングを受ける。
2019年 改正資金決済法再改正、金融商品取引法等の改正。
2020年 改正資金決済法の再改正・改正金融商品取引法が施行(同年5月1日)。
2021年 エルサルバドルでビットコインが法定通貨となる。
年表にしてみるとわかりやすいですが、仮想通貨はまだまだ歴史が浅いです。
最初の仮想通貨であるビットコインが誕生してからまだ13年しか経っていません。
仮想通貨の法規制の背景には、Mt.GOX事件があります。
2010年にビットコインの取引事業に乗り出したMt.GOXは、元々は2009年にトレーディングカードの交換所として設立された会社です。
その後、ビットコイン事業に転換することによって一時は世界でも有数のビットコイン取引所としてその名を轟かせました。ところが、2014年に廃業に追い込まれる事件を引き起こします。
Mt.GOX事件とは
世界の7割以上のビットコインを取扱うようになったMt.GOXは、2014年にハッキングを受けて大量のビットコインと預り金を流出させてしまいます。
内訳は、ユーザーが保有していた約75万BTCと自社が保有していた約10万BTC、そしてユーザーからの預かり金である約28億円でした。これは、当時の相場で約470億円分になるといわれています。これを受けて、同年Mt.GOXは破綻することとなります。
実はこれ、一夜にして約470億円分の資産が流出したわけではありません。
最初にハッキングを受けたのはなんと2011年のことなのです。
この時すでに875万ドル以上の被害を受けていたのですが、実際に事件が明るみになったのは2014年の2月のことでした。
多くのユーザーはこれらの事実を知らずに、3年もの間Mt.GOXを信用してビットコインやお金を預けていたことになります。
結果として、Mt.GOXユーザーたちは多くの損害を被ることとなりました。
問題は、これがただのハッキング事件で終わらなかったことにもあります。
当時のCEOだったマルク・カルプレス氏は、Mt.GOXが破綻した翌年の2015年に資金流出への関与の容疑で逮捕されました。
ふたを開けてみると、カルプレス氏の口座の資金が増えていることなどがわかってきて、横領の線が濃くなってきました。本人は無罪を主張し続け、2019年には事実上の無罪となっています。
こうした大規模な資金流出事件が、語り継がれているMt.GOX事件の概要です。
Mt.GOX事件後の影響と法規制の強化
こうした大規模な流出事件が起きた背景には、Mt.GOXの不十分な管理体制やセキュリティの問題があります。
これを受けて、当然国も規制の強化に動き出します。2017年に資金決済法を改正し、取引所の登録を義務化しました。
それだけではなく、仮想通貨を取扱うのに不十分な資金力の企業が取引所を設立できないように規制をかけます。
さらに、仮想通貨取引所として登録するには運営会社の資本金が最低1000万円というラインが設けられるようになったのです。
実のところそれまでは規制がゆるかったので、多くの中小企業が気軽に仮想通貨事業に参入していたのです。
Mt.GOXも元々はトレーディングカードの交換業を行っていたのですから、どれくらい手軽に乗り換えられていたかわかりますね。
また、事業所の登録以外にも規制がかかるようになります。
例えば、Mt.GOXのように顧客の預り金と自社の資金を一緒に管理しないようにする「分別管理」の徹底と、第三者による監査も義務付けられるようにしました。
これによって内部での横領や不正がしにくくなりました。
国内ではこのような規制強化がされたため、国内取引所を使う分にはかなり安全性が高くなったといえます。
しかし海外はその限りではありません。
各国の金融庁のライセンスを取得しているところもあれば、全くライセンスを持っていない取引所も山のようにあります。
特に、新興草コインを大量に扱っているような海外取引所には十分に気を付けなればなりません。
仮想通貨取引でかかる税金とは
ここからは仮想通貨取引に関わる税金についての説明をしていきます。
税金の知識を正しく身に着けなければ、脱税となって罰則を受けることになりかねません。
まずは税金の基本的な知識から学んでいきましょう。
利益にはどんな税金がかかるの?
まず、仮想通貨で利益を得た場合20万円以上から税金が発生することを覚えておきましょう。
逆にいうと、年間20万円未満の利益の場合は税金がかからないので申告する必要もありません。
なお扶養に入っている学生や主婦(夫)などの場合は20万円ではなく、33万円以上の利益で税金がかかってくるようになります。
仮想通貨の利益にかかる税金は10種類ある所得税の中で、「雑所得」という分類になります。
仮想通貨の税金「雑所得」の計算方法
税金がかかる場合はどのようにして金額が変わるのかをみていきましょう。
まず、所得税は累進課税といって、収入が増えれば増えるほど税金がかかるしくみになっています。
さらにその中でも雑所得の場合は総合課税といって、ほかの所得と合算して税率が決まるようになります。
実はこの部分が他の金融商品とはちがうところで、仮想通貨にかかる税金が高いと感じる理由になっています。
株式投資やFXの場合は、同じように雑所得に分類されますが他の所得との合算ではなく、申告分離税に該当します。
これは、他の所得とは別に一律20.315%の税金がかかるというしくみなのですが、たくさん稼げば稼ぐほど一律20.315%の恩恵は大きくなります。
所得が合算される仮想通貨の場合は、所得税の場合だけで最大45%の税金がかかってくることになります。
住民税などもあわせるともっとすごいことになり、最大55%もの税金を支払うことになります。
そうなると、半分以上を持っていかれるので悔しい思いをする人も出てくることになりますね。
画像引用:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
仮想通貨にかかる税金は申告しなければばれない?
先ほども触れた通り、一般の方は年間20万円未満、扶養に入っている方は年間33万円未満までは税金がかかりません。
しかしこれを超えると、雑所得の確定申告をしなければならなくなります。
仮想通貨の売買損益について知っておかなければ、仮想通貨で得た利益を申告する際に戸惑ってしまうので要注意です。
まず、仮想通貨の利益は以下の2つの計算方法があります。
- 移動平均法
- 総平均法
どちらを選んでも良いのですが、一度選んだ方法はずっと使い続けなければならないというルールがあるので注意が必要です。
仮想通貨を購入する度に毎回計算する方法。取得価額と残高の平均を出して、所得を計算する。
保有通貨を売る時に所得を算出することができる。
1年間を通して計算する方法。年間購入平均レートをもとに算出した取得価額の合計から、売却合計金額を引いて計算する。
1年を終わる時に計算するため、それまでは所得がわかりにくい。
確定申告は毎年、1月1日から12月31日までの間に得た利益を指定の書類に記入して提出するものです。
提出期間は毎年2月16日~3月15日となっていますが、コロナの影響で延長されていたこともあるのでその年の提出期限をしっかりとチェックしましょう。
期日に提出できない時はあらかじめ連絡しておくと延長できる場合がありますが、事前の連絡なしに期日を超過した場合は無申告加算税と呼ばれる追加徴税が発生することがあるので気を付けなければなりません。
無申告加算税は納めるべき税金額によって変わりますが、5~15%となっているので結構な痛手です。
また、納税を怠ったり遅れたりすると延滞税というのもかかってくるので気を付けましょう。
仮想通貨にかかる税金の注意点
ここまでは、仮想通貨で利益を出した場合にかかる税金についてお話ししましたが、実は他にも税金がかかる場合があるのでしっかり学んでおきましょう。
- 仮想通貨で買い物をした場合
- マイニングやステーキングで仮想通貨を得た場合
実は保有している仮想通貨で買い物した場合も課税される場合があるのです。
例えば、ビットコインでイーサリアムを買ったとします。
これは具体例を示しましょう。
(例)
・1BTC=1万円の時に1BTCを購入。
・1BTC=10万円の時に1BTCでイーサリアムを購入。
・イーサリアムの取得金額が10万円(1BTC)となり、そこから1BTCの元々の取得金額である1万円を引くと9万円になる。
この事例の場合、9万円が課税対象となります。
他にも仮想通貨で物品を購入した場合も同じように計算し、税金が発生する場合があります。
またマイニングで得た仮想通貨にも税金がかかることがあります。
マイニングで発生した仮想通貨にもこれまで説明したような計算方法で税金が発生します。
ただし、マイニングを行うためには高性能なコンピューターやかなりの電力が必要となりますので、経費として差し引くことができます。
このように、ただの取引以外にも仮想通貨には税金がかかってくる場合があるので注意が必要です。
多額の税金の中で上手に仮想通貨を運用するコツ
仮想通貨には様々な法規制があり、税金もしっかりとかかってくることがわかりました。
しかも株式投資やFXとはちがう形で税金がかかるので、不安になった人もいるのではないでしょうか?
こうした制度を頭にきちんと入れて仮想通貨取引を行うのが理想ですが、なかなかそうもいきませんよね。
こうした制度の中でうまく仮想通貨で稼ぐ方法について解説していきます。
利確せずに保有しておくのも手
予期せぬ値上がりなどで保有している通貨の価値が跳ね上がるなどした場合は、そのまま保有しておくのも一つの手です。
税金が発生するのはあくまで利確をした場合のみです。
そのまま持っているだけなら税金がかかることはありません。
利益が出過ぎるなら法人化を検討
予想を超えた利益が出た場合はとても嬉しいですが、最大55%の課税となるとがっかりもしますよね。
これをうまく抜ける手段として「法人化」という手段があります。
要するに自分で仮想通貨を使って利益を出すという事業を行う会社を作ってしまうという方法です。
これをすると、これまで紹介してきた所得税ではなく法人税が適用されることになります。
個人では最大55%もかかってしまう税金ですが、法人化することで最大約33%まで支払う額が下がることになります。
ただし法人化の手続きや経費などもかかってきますので、利益額によって検討してみてください。
個人事業主になる
これも法人化と似たような手段で、個人事業主として開業してしまうという方法です。
この場合のメリットは、確定申告の際に青色申告を利用できることです。
青色申告はきちんとルールにのっとって申告すれば、最大65万円の控除を受けることができます。
つまり65万円分は税金がかからないということです。
ただしこの場合は、雑所得としてではなく事業所得として計上することになりますので注意が必要です。
この方法は一般の会社員の場合は認められない場合があります。
会社員としての給料が生計の主軸となることが多く、仮想通貨投資による利益が生計の主軸と認められないからです。
日本における仮想通貨規制と税金に関わる最新動向
ここでは国内の仮想通貨に関わる規制や税制の最新情報について紹介していきます!
仮想通貨に関わる分離課税が適用される?
先ほども触れましたが、株式投資やFXの場合は申告分離課税といって利益に対して一律20.315%の税金がかかるということでした。
仮想通貨にも同じ税制が適用されるかもしれない、という動きについて説明します。
実は2021年8月11日に、仮想通貨に関わるJCBAとJVCEAという協会が「2022年度税制改正要望書」を公開しました。
この要望書には、仮想通貨の利益にかかる税金を20%の申告分離税にしてほしいという要望が書かれています。
もしもこの要望が受け入れられるようなことがあれば申告分離税適用が叶うことになりますが、現時点ではどうなるかはわかりません。
金融庁・国税庁による仮想通貨規制最新動向
金融庁による仮想通貨規制については、定期的に開催される研究会などで話し合われています。
最近では9月15日に「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」の第2回が開催されました。
同研究会では、分散型金融とステーブルコインについて議論が交わされています。
また、国税庁では仮想通貨取引に関する大規模調査を行いました。
なんとこの税務調査によって、実に14億円を超える申告漏れが明るみになったのです。
対象者数十人には追加徴税が課されることとなり、その総額は約6億7000万円にものぼります。
今回の申告漏れが意図的なものかそうではないものかはわかりませんが、申告を怠るとこのように後で支払わなければならないことになるため、しっかりと申告することが大切です。
ちなみに国税庁は、2021年6月末に仮想通貨の税金に関する最新のレポートを発行しています。
これには、仮想通貨のレンディングに関する項目を追加しています。
レンディングとは、保有している通貨を取引所などに貸し出すことで利益を得るという方法です。
レンディングで発生する利息に関しても課税の対象になるということを、同レポートで明示しています。
同様に、マイニングやステーキングで得た利益も課税対象になりますので注意が必要です。
日本における仮想通貨規制・税制のまとめ
仮想通貨に関わる法整備は最近ようやく整ってきたといっても過言ではありません。
仮想通貨自体が新しいものであるが故に、ここ13年の間に色々な流出事件などがあってようやく形作られてきたという経緯があります。
仮想通貨に関する法規制の大部分は、ユーザーが安心して利用できる取引所の整備とユーザーの資産を守るための法規制に重きが置かれています。
その中で、仮想通貨取引を安心・安全なものにするためにはユーザー自身も守らなければならないルールがあります。
また、今回は税制についても詳しく紹介しました。
株式投資やFXとは異なる「総合課税制度」が適用されるため、現状では仮想通貨で稼げば稼ぐほど税金が持っていかれるようになっています。
申告分離税の適用要望も出されていますが、今のところはどうなるかわかりません。
ここ13年で目まぐるしく変わってきた仮想通貨界はまだまだこれから変わっていく部分がたくさあるでしょう。
最新の動向を追いながら、安全・安心の中で仮想通貨取引を行っていくよう心がけましょう。